絆の光は未来へ
光希は、電子カルテの画面から視線を外し、窓の外に広がる曇り空を見上げた。これからあゆかに処方する内服薬の種類と量を再確認する。

炎症の進行を抑え、再発のリスクを最小限に抑える。それが、今の彼にできる最善のことだ。

(夜中でも、遠慮はいらない……)

診察の最後に伝えた言葉が、再び彼の脳裏にこだました。それは医師としての責任感だけでなく、幼馴染みとして、彼女のどんな異変にも、どんな時でも駆けつけたいという、彼自身の切実な願いだった。

光希は、再び電子カルテに向き直り、次の患者のデータを開いた。しかし、その瞳の奥には、佐々川あゆかの病状と、彼女の未来に対する深い懸念が、静かに波打っていた。

(大丈夫だ、あゆか。俺は医者だ。お前を守るために、ここにいるんだから)
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