婚約破棄されましたが、聖女様ごとまとめてざまぁさせていただきます ~平凡令嬢、イケメン魔導師に拾われ溺愛される~
「出して!出して下さい!」

私は鉄格子を掴み、喉が枯れるほど叫んだ。

どうして、こんなことになったの?

私はただ、信じていた人に裏切られ、傷ついて――

それでも、王太子妃としての誇りを守ろうとしただけなのに。

しばらくして、重たい足音が近づいてきた。

目を向けると、そこに立っていたのは……お父様だった。

「……お父様!」

期待と不安が入り混じった声が自然と漏れる。

けれど、お父様は淡々と告げた。

「帰るぞ、ノエルナ。」

その声音は、氷のように冷たかった。

「……感謝するんだな。」

「……誰に?」

喉の奥が震えた。分かっていて、聞かずにはいられなかった。

「聖女、シェレナ様に。」

その名を聞いた瞬間、言葉が詰まった。

私を――助けた?

あの女が?

牢から出る手配をしたのは、シェレナだと?

感謝など、できるはずがなかった。
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