野いちご源氏物語 二五 蛍(ほたる)
紫の上も物語がお好きでいらっしゃる。
「明石の姫君のために」という口実でたくさん集めておられるの。
絵巻をひとつ広げて、
<すばらしい絵だ>
と見入っていらっしゃる。
まだ若い姫君が無邪気にお昼寝なさっている絵よ。
<私にもこんな時代があった>
と懐かしくお思いになる。
源氏の君もご覧になる。
「この絵の男女は、まだ子どもだというのにずいぶんませていますね。あなたがこれくらいのお年だったころ、私はただの遊び相手だったけれど。世にもめずらしい気の長さであなたのご成長を待っていたものです」
たしかに世にもめずらしい恋ばかりを好む方でいらっしゃるわね。
「明石の姫君のために」という口実でたくさん集めておられるの。
絵巻をひとつ広げて、
<すばらしい絵だ>
と見入っていらっしゃる。
まだ若い姫君が無邪気にお昼寝なさっている絵よ。
<私にもこんな時代があった>
と懐かしくお思いになる。
源氏の君もご覧になる。
「この絵の男女は、まだ子どもだというのにずいぶんませていますね。あなたがこれくらいのお年だったころ、私はただの遊び相手だったけれど。世にもめずらしい気の長さであなたのご成長を待っていたものです」
たしかに世にもめずらしい恋ばかりを好む方でいらっしゃるわね。