野いちご源氏物語 二五 蛍(ほたる)
(むらさき)(うえ)も物語がお好きでいらっしゃる。
明石(あかし)姫君(ひめぎみ)のために」という口実(こうじつ)でたくさん集めておられるの。
絵巻(えまき)をひとつ広げて、
<すばらしい絵だ>
()()っていらっしゃる。
まだ若い姫君が無邪気(むじゃき)にお昼寝なさっている絵よ。
<私にもこんな時代があった>
(なつ)かしくお思いになる。

源氏(げんじ)(きみ)もご覧になる。
「この絵の男女は、まだ子どもだというのにずいぶんませていますね。あなたがこれくらいのお年だったころ、私はただの遊び相手だったけれど。世にもめずらしい気の長さであなたのご成長を待っていたものです」
たしかに世にもめずらしい恋ばかりを好む方でいらっしゃるわね。
< 15 / 20 >

この作品をシェア

pagetop