五妃伝 ~玉座に咲く愛~
「医者の娘なんて、中途半端な出自が唯一の拠り所だったのに……」
自嘲気味に笑って、茶を口に含む。
しかし心は静まらなかった。
(あの人の瞳は、もう私を映さないの?)
新しい妃――悠蘭。
その名が、玉蓮の胸に小さな棘のように突き刺さった。
それは、まだ玄曜が即位して間もない頃のことだった。
医術に長けた蘇家は代々、宮廷医を務めていた。
その日もまた、蘇家の当主である医師・蘇南嶽が診察に召され、娘の玉蓮を伴って宮殿に赴いていた。
「殿下――いえ、今は陛下とお呼びすべきですね。」
柔らかな声が、白衣の父の背後から響いた。
玉蓮は薬箱を抱えたまま、初めて見る皇帝・蒼玄曜をそっと見上げた。
(なんて――威厳に満ちた方……)
まだ若いというのに、姿勢には一分の隙もなく、瞳はまっすぐに人を射抜くようだった。
自嘲気味に笑って、茶を口に含む。
しかし心は静まらなかった。
(あの人の瞳は、もう私を映さないの?)
新しい妃――悠蘭。
その名が、玉蓮の胸に小さな棘のように突き刺さった。
それは、まだ玄曜が即位して間もない頃のことだった。
医術に長けた蘇家は代々、宮廷医を務めていた。
その日もまた、蘇家の当主である医師・蘇南嶽が診察に召され、娘の玉蓮を伴って宮殿に赴いていた。
「殿下――いえ、今は陛下とお呼びすべきですね。」
柔らかな声が、白衣の父の背後から響いた。
玉蓮は薬箱を抱えたまま、初めて見る皇帝・蒼玄曜をそっと見上げた。
(なんて――威厳に満ちた方……)
まだ若いというのに、姿勢には一分の隙もなく、瞳はまっすぐに人を射抜くようだった。