五妃伝 ~玉座に咲く愛~
ある日、診察を終えた帰り道。

父・蘇南嶽は、隣を歩く娘の横顔をちらりと見やった。

目を伏せたままの玉蓮の顔には、幼子のような切なさがにじんでいた。

「皇后陛下がおありなのですね……」

その言葉に、父はようやく気づいた。

娘が、すでに皇帝に恋をしていることを。

「……今度、三年に一度の召し上げがある。」

沈黙の後、父はぽつりと告げた。

「それに、応募してみるか?」

玉蓮は驚いたように顔を上げた。

「私が……それに通れば、あの方の妃になれるのですか?」

「可能性はある。医師の家の娘とて、選ばれぬとは限らぬ。」

胸が高鳴った。

けれど同時に、玉蓮は恐れも感じていた。

自分のような娘が、あの高貴な御方の隣に立てるのだろうか――と。

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