五妃伝 ~玉座に咲く愛~
「……まだ、決めておりません。」

精一杯の返答だった。

だが、その横顔に浮かぶ寂しげな微笑みに、玄曜は一瞬、何かを感じたように視線を留めた。

でも、皇帝と医者の娘では、交わるはずのない世界だ。

だからこそ玉蓮は、召し上げの日を夢に託すようになった。


召し上げの儀を間近に控えたある日、玉蓮はいつものように父に付き添い、宮中の医館を訪れていた。

朝から穏やかな風が吹き、庭の梅の花が香っていた。

「玉蓮、今日は静かな日になりそうだな。」

父がにこやかに言った。玉蓮は静かにうなずく。

「はい、今日は陛下の診察もございますから。」

ふたりが医館に入ると、すでに玄曜が奥の間にいた。陳亮とともに控えており、玉蓮の姿を見て微笑を浮かべた。

「また来てくれたのか、玉蓮。」

「はい、父の補佐として参りました。」
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