番外編「休日のバーテンダーズ」

夕食後、
麦茶を飲みながらしばしまったりしたあと、
ふたりでさっとテーブルの上を片付け洗い物を終え、代わりにワインの空き瓶3本とワイングラス3個を並べた。
「コンマ0.1遅い。俺が瓶を受け取れなかったのはそのせいだ」

彼らの特技「フレア・バーティング」の練習である。
「見てろ」
四季が立夏のパートを実演してみせる。軽く瓶が2本宙に舞う。華麗なジャグリングだ。ワイン瓶は決して軽いものではない。下手したら怪我をする。しかし四季は涼しい顔をしてワイン瓶を操る。まるで自分の身体の一部のように。

「ジャグリングのターン長くね?」
「ん。メリハリをつけるか」
「クラップ入れる?」
「1発?」

真剣な顔が驚くほどにそっくりである。真剣な声も、口調も。
「1回回す、手をたたく」
「おまえも回れ」
「ワン」

真剣な練習の合間に冗談も交えつつ、2時間練習した。