日本—ヤマト—の女帝



「ならいっそのこと、お主がなってみるか?天皇に」

「えっ?……すみません。どういう意味でございましょうか」

「そのままの意味じゃよ。私ももう三十七。何が合ってもおかしくない」

つい先日倒れた父が言うと冗談にもならないのでやめていただきたい。

「何を……。父上、父上はまだまだ生きてください。いや、生きるべきです。お祖父様は五十を過ぎてもなお元気でいらしたでしょう?」

その祖父は二年前にこの世を去っている。

「そうじゃが……」

「それに女である上に独り身の私では天皇になどなれませんわ。母も皇族じゃありませんし」


< 26 / 46 >

この作品をシェア

pagetop