すべての花へそして君へ①

 ――パンッ! パン!! パンッッ!!!!


「あ」

「ちょっと日向くん! 何回邪魔したら気が済むのっ!」


 頭の中アホでいっぱいで、すっかり忘れてた。
 そうだった。中の人たちはいろいろ構えてたんだった。あおいが好き過ぎて忘れてた。


「ああ、すみません。もう邪魔しないんで」

「もおっ。ラッカーなくなったじゃんか。どうしてくれるの」

「クラッカーじゃないといけないんですか?」

「え? お祝い事にはクラッカー必須でしょ?」

「そ、そうですね……」


 でもまあ、ノリノリなのは数名のみって感じだ。あとのその他大勢は、無理矢理シントさんに持たされたようだ。


「……まあ、今両親と話してるんで、もうちょっと待ってあげてください」

「やっぱりそうか」


 心配そうな、それでいて少しだけ苛ついているようなシントさんに小さく笑う。


「あいつも、それからお二人も大丈夫ですよ。だからシントさんも、お二人のこと。わかってあげてくださいね」

「それは。……もう君の話を聞いてから心は決まってるし、何より葵がして欲しくないことを、俺はしないよ」

「シントさんならそう言うだろうと思ってました」


 やっぱりこの人も、あいつが好きなんだなと。そのやさしさに頬が緩む。こんなにやさしい人たちに囲まれて、そして愛されて。……あいつは、幸せ者だ。


「……日向くんって、そんなやさしい笑顔もできるんだね」

「シントさんの中でオレ、どれだけ悪役になってたんですか」

「そう思うくらいの悪役だったってことだよ」

「はいはいわかりましたよ。……まあ、もうちょっといい子で待っててあげてくださいね」

「そうしたいのは山々だけど……」

「……なんですか?」

「クラッカーがないからアキと一緒に買いに出てくるっ!」

「……いってらっしゃい」


 目聡いシントさんはさっさと、既にデザートを食べ進めているアキくんを見つけ、腕を引っ掴んでダッシュで会場から出て行った。
 取り敢えず『アキくん頑張れ』と。『アキくん流石にヤバいでしょ』と。そんなことを心の中で言いながら手を振ったあと、オレは一直線にある人物の下へと向かった。


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