すべての花へそして君へ①

 ――爆弾が落ちた。


「……ひなたくん」

「ん?」


 ガンッて、頭をハンマーで殴られた。


「……。っ、ひなたくん」

「……うん」


 心臓発作で倒れそう。本気でAEDが欲しい。


「ひなたくんっ」

「……愛してるよ。あおい」


 ぶっとい矢が――ドスッてぶっ刺さった。


「……。すき」


 壊れた。


「すき。すき……。すきっ。すき。ひなたくんが……。すきっ。すき」


 恥ずかしさの限界を超えたら。愛しい気持ちが。我慢できなくなったら。壊れた。ロボットみたいに。同じ言葉を繰り返した。壊された。ヒナタくんが。そんなこというから。


「不器用なのも。捻くれなのも。意地悪なのもっ。恥ずかしがり屋なのも。照れ屋なのも。かっこいいのも。かわいいのも……っ」


 ぐちゃぐちゃのまま。震えながら、彼の頬を包み込んで。

『もう、いっぱいいっぱい』『わたしも。触れたい』

 そんな想いと一緒に。触れ合うだけのキスを。啄むような口付けを。何度も何度も落とした。


「んっ。……はあ。……わたしのこと。見ててくれるやさしいひなたくんが。ひなたくんの全部。全部全部。すきですっ。あ。あい、して。ま――んむ」


 少しだって離れたくなくて。ゼロの距離で伝えた、惚気て一番赤くなった言葉。
 最後の言葉は、わたしと同じくいっぱいいっぱいだった彼に飲み込まれてしまったけれど。きっと。いっぱい好きって言ったから届いてる。

 いつの間にか逆転してしまった口付けは、深くて深くて荒く絡みついて、熱くて。すごく激しくて。でも。それでも全然足りなくて。足りなくて。足りなくて。わたしたちは、もっともっとを求め合った。

 流石に息が苦しくなって。膝立ちで、支えてもらっていてもガクガクになって。それがわかったんだろう。ゆっくりと、触れるだけの口付けを落としながら、「苦しくない?」と。そうやさしく声をかけてくれながら。ただただやさしく、彼はわたしをベッドへ横にした。


「はあ……。……はあっ、はあ」


 苦しくないか……? ええ。そりゃ苦しくありませんとも。横にする時、サラッとホック外しやがった人がいるのでね。目の前に。


「まだしんどそう。……取ってあげようか?」


 いいです。そこまでのやさしい配慮は要りませぬ。
 胸元で腕をクロスさせながら、ただ首を横に振った。


「遠慮しなくていいのに」


 してませんってばっ。
 少し楽しそうに笑った彼は、髪をひと房掬い、そこへゆったり流れるように、甘くキスを落とした。


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