すべての花へそして君へ①
「まあ、こういうことに関しては悩みがつきないものだけど、一人で抱えるのだけはしない方がいいわ。私がまた聞けてあげられたら、背中押してあげられたらいいんだけど。……あおいちゃんの裸を出汁にして」
「しなくていいですっ!」
「兎に角、一人で抱えないこと。一番はあおいちゃんに言うこと。それから、……あなたのまわりには、そんなあなたの欲望をわかってでも叶えてくれるやさしいみんながいるわ。困った時は、助けてもらいなさい。甘えなさい?」
そうは先生仰いますけど……みんなに相談? いやいや、絶対聞いてくれないでしょ。
「理事長は問題外。キクは役立たず。カオルは聞く気もなさそう。みんなはオレが惚気でもしたら絶対殴ってくる。……先生。味方が女子しかいません」
「そ、それでもいいんじゃないかしら。……あなたが溜めなければいいわ。溜めてることを知ったらきっと、あおいちゃんが悲しむもの」
「……そうですね。それは、気を付けます」
まあ、的確な答えが返ってくるのはあいつしかいないけど……あんまり、言いたくないな。いや、言うけどさ。がっついてるとか、そんな風に思って欲しくないな。
……引かれないように言い方を変えて言お。嫌われないように、言葉に気を付けよ。そうしよっ。
「ま。みんなに嫌われたと思うなら、きちんと謝りに行くといいわ? 笑われるだけだと思うけれど」
「……まあ、笑われてもいいので行きます。ちゃんと、そういうことはハッキリしておきたいんで」
「律儀なんだから」と、先生は小さく笑った。『バカだなこいつ』って目もしてたけど。
「じゃあ、そのあとでいいわ。時間をくれるかしら」
「え? 別に今でもいいですけど」
「何言ってるの。さっさとそういうことは済ませなさい。……ちょっとね、話しておきたいことがあるのよ?」
大事な話なんだろう。でも、それでもどこか嬉しそうで、ほっとしてるような……そんな表情を彼女は浮かべている。
それに頷いて、また連絡しますと。オレは、重い足を引きずりながら、バッターに笑われに行くことにした。