すべての花へそして君へ①
 ✿


「……まあちょっと心配でもあるけど、きっと大丈夫ね。なんせ、あのあおいちゃんがお相手なんだもの?」


 彼の背中を見送りながら、そんな言葉が漏れる。


「あおいちゃんだって、きっといろいろ悩んでるし考えてるはずよ。……そこにもちゃんと、気付いてあげなきゃね」


 しっかり者で、やさしくて。大人に見えて、実は子どもで。似たもの同士の彼らはきっと。きっと心配しなくてもどうにかするだろう。彼らなら、……大丈夫でしょ。問題は。


「はあ。……そろそろ腹を括らないと」


 私がすべきことを、しなくては。


「あーあ。ほんと、バカみたいだわ。……なんでこんなに苦しいのかしら」


 そっと胸に手を当てて落ち着かせる。それが落ち着くのに、……少し時間がかかってしまった。


「……さてと。私よりも先にいらっしゃってたから、もう朝日向夫妻には会われたかしらね」


 そう呟きながら、まだ少し痛い心臓に気付かない振りをしながら。私は三舟さんを捜しに会場の方へと足を運んだのだった。


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