すべての花へそして君へ①

(おおお、落ち、落ちちゅけ……)

「……まあ、緊張してないわけじゃない」

「え」

「だから、手汗ごめんって言った。でも、嫌じゃないんでしょ?」

「……嫌じゃ、ない」


 ……そっか。なんだ。一緒だ。


「……?  ……どうしたの」


 ほんの少し。今度はわたしの方が力を入れる。


「ただ、きっとわたしの方がヤバいけど。自信あるけど」

「ん?」


 すっごい緊張してる。ヒナタくんとこうしてるの慣れなくて、まだちょっと居心地悪い。もちろんいい意味で。きっと照れてるんだと思う。恥ずかしいんだと思う。


「手汗。だから、嫌だったらごめんなさい」


 でももちろん、わたしだって繋いでいたいことに変わりはないから。


「……あんたも手汗かくんだ」

「おい。どんな生き物だと思ったんだ、わたしを。宇宙人か何かかと思ったのか」

「え。……人間?」

「今の間はなんだ。何で最後疑問系なんだ」

「人間離れ、だいぶしてるなーと」


 そ、そうですね。……え。たぶん人間だと思うんですけど……。


「ま。人間でも人間じゃなくても」

「いや、人間だから」

「それでもオレは、嫌じゃない」

「……へ?」

「人間じゃなくても。……あおいは嫌じゃない」


 視線を正面へと戻しながら。ただ、赤くなってる耳だけこちらへと向けて。


「そんなことが嫌なら、必死になって助けるわけないでしょ?」


 一度だけ振り返って、ニコッてかわいく笑って。また心臓が痛くなるようなこと言いやがって……。


「いやでも、わたし人間だからね?」

「あ。そうなんだ」

「ええ!?」

「よかったね、人間って認められて」

「えっ!? ど、どういう意味だ!!!!」


 相変わらずの不器用さんは、どうやらわたしの心臓と鼻に、だいぶ影響するようになってしまったようです。
 も、保つのだろうか。わたしの心臓さんとお鼻さんは。


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