赤く染まった空
背後から聞こえた彼女の声だったが体力が限界に近いからか上手く聞き取れなかった。ここから出られる⋯あともう少しで届く希望の光に無我夢中で手を伸ばした直後、後頭部に衝撃が走った。
後ろを振り向くと血相を変えた彼女。手にはハンマー。そのハンマーの先から血がぽたぽたと地面に落ちていた。
どういう状況か理解が追いつかないまま私は倉庫を飛び出して必死に走った。頭から流れる血が額や鼻筋を通ろうともガラスか石の破片が足の裏を突き刺そうとも必死に足を動かした。
体力がない上に大量の出血のせいでか足がもつれた私は朦朧とした意識の中で咄嗟に受け身をとる事もできず顔から地面に突っ伏してしまった。
すぐに立たなきゃ⋯そう思っても鉛のように重たい身体が動こうとしない。