サヨナラじゃない

〚100日記(2)〛

泣き止んだ所で、アラレは話し出した。
「さて、千影ちゃんが泣き止んだところで、雨坂さん。このお店お勧めの日記帳ってありますか?」
…あ、そういえば、そのために外でたんだっけ?
やべー、すっかり忘れてた……。
「あっ、はい。それなら……少々お待ちください」
テッテッテと小走りで駆けていく雨坂ちゃん。
心当たりがあったようだ。
「こ、こちらはどうでしょう?」
手渡された日記帳。
白を基調としたもので、葉っぱなどがあしらってある。勿論、葉っぱは模様だよ!
「そうそう!こういうのだよ、私が欲しかったの!」
理想とほぼぴったりな日記帳だから、直ぐ様私は声を上げた。
「ちーちゃんが喜んでくれて、よかったです…!」
すぐに嬉しそうになる雨坂ちゃん。
「じゃあ、これ買います」
アラレがお金を出してくれた。
……30円だけ。
「これ、足りないですよ?」
「へ……?」

雨坂ちゃんのお母さんのご厚意で、コーヒーなどのお金は渡さなくて済んだけど、日記帳は買うことができなかった。
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