すべての花へそして君へ②
姫と異国の兵士と告白
(……疲れた)
何がと言ったら、それはもういろいろだ。
あいつとみんなが祭りに行ってる間、何でかカナに捕まった。特に何をするでも言うでもない……というか、なかなか言い出せずにいたから、痺れを切らしてド突いたらユズのことで相談があったみたいで。
『……ていうか何でそれオレに相談するの。相手間違ってない?』
カナもカナでいろいろ悩んでたみたいだ。一人敵が減ると思ったらそりゃ、あんま変わんないけどちょっと一息くらいはできるし、オレ的には大歓迎だけどさ。
『え? 間違ってないよ。だって彼女いるのこの中でヒナくんだけじゃん』
『キクもいるじゃん』
『それこそ相手間違ってるでしょ~』
それもそうだね▼
カエデさんはー……と思ったけど、まあさすがに相談できないか。だって娘だし。
ただまあ、カナ本人もまだよくわかってないみたいで。今まで避けてしまっていた分向き合いたいなって、そう思ったらしい。
『いいんじゃん? 頑張れば?』
『もうちょっと親身になってよ……!』
だから、相談する相手が間違ってるって。オレだって、誰かに相談したいくらいなのに。自分のことで手一杯だっつの。他頼れ他を。
そしたらカナの奴は、本気で悩んでるのか次はキクのところに行ってしまった。さすがに、そうなる前にちゃんとなんか言ってあげればよかったと少しだけ反省。
(……ま。キクもちゃんと相談に乗ってあげたんだろうけど)
カナの方は一先ずキクに任せておいてだ。そのあとだ問題は。
(……いいなーお揃い)
あのしょうもない戦いで、あれだけ落ち込んでたんだ。クソ兄貴が楽しみにしてたことだって、十分見て取れた。
『つばさクン、楽しかった?』
『は? ……な、なにが』
『だって~お腹摩りながらニヤニヤしてるんだもんっ』
アカネ。そういうのはせめて、オレがいないところでやって。それでもって、みんながいるところで……反響するようなところで言わないで欲しかった。それはツバサも思ってるだろうけど。
カポン……。
体を洗い終えたオレは、そんな会話に耳を傾けながらも知らぬ顔をしてお風呂に浸かる。あー気持ちー……。
『……そりゃ楽しかったけど、それはお前らもじゃねえの』
そんなね、ちょっと照れくさそうに言ってね。何となく話題逸らそうとしてもね。お前がなんかいいことあったんだなってことはこの場の全員見てわかるんだよバーカ。
案の定ツバサの周りに群がる面々。……へー。そうなんだ。お揃いのなんか持ってるんだねーへえ。お風呂だからよく響いて聞こえるよー。……オレだってまだ持ってないのにッ。
『なんかこう見てるとさ』
『翼が葵ちゃんの彼氏みたいになってますよね』
シントさんとトーマはこんな感じで、何でかオレにぴったりだし。……ま、いいよ別に。ツバサが、……みんなが楽しかったんならそれで、オレも嬉しいし。