すべての花へそして君へ②

 よほどショックだったのか、どよ~んとした黒い縦線のオーラをいっぱい纏ったツバサくんが、這うようにこちらへとやってきた。


「う~ん。団扇で扇いだらどっか行くかな?」

「あんたとデートすれば一発でなくなるよ」

「……してきてもいいの?」

「ダメに決まってるじゃん」

「じゃあどうしたらいいかな?」

「……泣いてないから、あれはしたらダメ」

「じゃあ泣かす?」

「え。したいの? え? え??」

「冗談だからっ。ひなたっ。俺の首絞めるなっ……」


 ヒナタくんが結構本気でお兄の首を絞めにかかっていたので、大急ぎで引き剥がしました。


「じゃあ今度、ツバサくんも一緒にご飯食べよ!」

「ん。やった。ありがと」

「……まあ、それならいいよ、別に」

「俺も食べたいんだけどっ!?」

「「「お兄ちゃんの特権だから無理」」」

「やっぱり俺の扱いっ」

「じゃあかなくん! 今度うち来てよー!」

「……っ!? ゆっ、ユズちゃん……」


 向こ~うの方でこちらへ手を振りながら大きめな声でそんなことを言っている彼女だけど……そもそもなぜ、彼女にこちらの会話が聞こえたのかは不明だ。そして尚且つ、彼女の横にいるお父様が煙草を咥え、そしてこちらを睨んでいる姿に、カナデくんは恐怖で体が震えている。
 そんなカエデさん、実はただ、大変だな~って見てるだけなんですが。


「カナデくん、大変だね」

「「そうだね(な)」」


 さてさて気を取り直しまして! お次の対決は……? 


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