誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
「少しだけ、期待しちゃってたんです……。優しくされて……ご飯にも誘ってもらって……。でも、連絡が途絶えて……」

そう呟く声は、どこまでも寂しげだった。

「わたしだけじゃなかったんですね。あの人……誰にでも、同じなんですね……」

川口さんの手には、既読にならないままのメッセージが震えていた。

「やっぱり、桐生部長ですか。」

静かな声が背後から聞こえた。振り返ると、そこには美羽さんが立っていた。

涼しげな目元で状況を見つめる彼女は、ため息ひとつついて川口さんの隣に静かに腰を下ろす。

「そうやって泣いてる女性を……私、何度も見てきました。」

静かながら、確かな怒りをにじませた声。

美羽さんの目には、少しの哀しみも浮かんでいた。
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