誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
「どうした? またなんか変なこと言われたのか?」

「はい。」

足を止めることなく、私はロビーの出口に向かって歩き出した。

「相手は……美羽だろ。」

隼人さんがすぐ後ろからついてくる。

やめて。今は、あなたの顔なんか見たくない。

「美羽が何て言ってきたんだ?」

その声に、私はとうとう足を止めた。

そして、振り返りもせず、言ってやった。

「“あの人は、誰にでも優しい。でも、本命になんてなれない”って。」

少し間を置いて、私はゆっくり振り返る。

「“あなたもそのうち、泣くことになるよ”って。」

隼人さんの目が揺れた。

でも、私は止まらなかった。

「私、部長のこと信じたいと思ってました。でも……信じるだけ、バカを見るんですね。」

声が震えそうになるのをこらえて、私はもう一度、顔を背けて歩き出した。
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