誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
「……まるで、トロフィーみたいだったな。自慢できる男を手に入れたって、そんな感じでさ。」

「そんな……でも、美羽さん、本気で好きだったんじゃ……」

「分からない。でも、俺は……あの時、心のどこかで“この人は俺を見てない”って気づいてた。」

寂しい――そう言った彼の言葉が、今、じわじわと胸に沁みた。

だからなのか。あれほど多くの女性に囲まれても、隼人さんの瞳がどこか遠くにあるように見えた理由が、今なら分かる。

私はそっと手を伸ばし、テーブルの下で彼の指先に自分の指を重ねた。

「私は……ちゃんと見てますよ。」

彼の瞳が、ゆっくりと私に向けられた。

「私、ちゃんとあなたのこと、見ています。」

そう言って、私は真っ直ぐに彼の目を見つめた。

嘘も、ごまかしもない。隼人さんにだけは、素直な想いを伝えたいと思った。

すると彼は、ふっと目を細めて、微笑んだ。
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