誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
「お待たせしました、ボンゴレロッソと、トリュフのリゾットです。」

「わぁ……おいしそう。」

ナプキンを膝にかけ、私は一口スプーンですくった。

「……うん、美味しい。」

思わず笑顔になる。

すると、隼人さんがまたからかうような目を向けてきた。

「やれやれ。君はどうやら、俺じゃなくて食事に捕まったようだね。」

「そんなことないです。」

すぐにそう返すと、彼は少しだけ驚いた顔をして、それから優しく笑った。

「じゃあ、俺にも少しはチャンスある?」

「……ううん、もう捕まってます。」

「そっか。」

短く答えた彼の声が、いつになく優しくて。

ふたりの間に、確かなものが生まれているのを感じた。

食後のコーヒーまで飲み終え、私たちはゆっくりと店を出た。

夜の風がほんの少しだけ肌を冷やす。
< 116 / 291 >

この作品をシェア

pagetop