誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
そして歩いて、隼人さんの家に向かった。

「本当に近いんですね。」

「そうだよ。会社からも、君の家からも。」

「……私の家から?」

「うん。気づかなかった? 前からずっと、近くにいたんだよ。」

なんだかその言葉が、胸の奥に落ちた。

ずっと遠くに感じていた人が、こんなにも近くにいたなんて。

まっすぐ歩く彼と、同じ歩幅で歩けるのが、なぜか嬉しかった。

気取らず、無理もせず。ただ、隣にいられる心地よさ。

「何か買って行く?」

彼がふと立ち止まり、近くのコンビニを指さした。

「……うん、ちょっとだけ。」

店に入ると、私は雑貨コーナーに向かった。

旅先で使える一泊用のスキンケアセットが並んでいて、手に取っては戻し、また手に取る。
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