誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
――買うってことは、覚悟するってこと。

でも、今夜はきっと、忘れられない夜になる。

「買って行く?」

不意に後ろから声がして、振り向くと、隼人さんが軽く笑っていた。

そしてその手には、控えめなデザインのコンドームの箱。

「ええっと……」

私は、言葉を失った。

視線を逸らすと、彼は小さく苦笑した。

「いや、からかったわけじゃない。念のため……っていうか、準備しておかないとって。」

「……見せなくていいです、そういうの。」

「ごめん。でも――」

彼は少しだけ声を落とした。

「君を、ちゃんと大事にしたい。」

真剣な眼差しが、嘘のない気持ちを物語っていた。

軽く見られているんじゃない。茶化されているわけでもない。

私が、今夜この人を選ぶなら――それは、きっと間違いじゃない。

私はそっと、手にしていた化粧品セットをカゴに入れた。

「買います。」

その一言に、彼の頬がふわりと緩んだ。
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