誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
隼人さんの家は、高層マンションの上層階だった。

エントランスからロビー、エレベーターに至るまで、どこも洗練された静けさが漂っていて、私は自然と背筋を伸ばしていた。

「高そう……」

「余裕だよ。」と彼は冗談めかして言いながら、私の手を引いて玄関を開ける。

中に入ると、白とグレーを基調とした落ち着いた内装が広がっていた。

夜の街並みを見下ろす大きな窓。

その外には、宝石のように瞬くビルの灯り。

「それだけ稼いでますもんね。」と私が言うと、隼人さんは肩をすくめて笑った。

「そうだ。冷蔵庫にワイン入ってるよ。赤と白、どっちがいい?」

「赤がいいです。」

彼は手慣れた様子でワインを取り出し、グラスを二脚、カウンターに並べた。

抜栓の音が静かに響く。

注がれたワインの色が、グラスの中で深く揺れる。
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