誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
唇が離れるたびに、余韻を残して、また求めるように繋がる。

くちびるから、熱が伝わってくる。

その熱が、喉の奥を震わせて――

「……んっ……」

思わず、吐息がもれた。

それが合図のように、彼の手がそっと私の頬に添えられる。

もっと深く、もっと優しく――まるで私の気持ちを確かめるように、隼人さんはキスを重ねてくる。

時間が止まったみたいだった。

ただ、ふたりの呼吸と、ぬくもりだけが部屋に満ちていた。

隼人さんは、私をぎゅっと強く抱きしめた。

まるで、もう絶対に離さないと言わんばかりに、熱を帯びたその腕が、私を包む。

「紗英……好きだ。」

耳元で囁かれるその言葉に、胸の奥がじんわりと熱くなる。

何度聞いても、照れてしまうのに――

今夜のこの空気の中では、特別すぎて、まっすぐ心に沁みてくる。
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