誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
「俺の恋人になってほしい。」

真剣な眼差し。

仕事中に見せるどこか飄々とした顔じゃない。

ひとりの男として、私を見てくれている瞳。

私は、何も言わずに、強くうなずいた。

「……大切にしてください。」

言葉にするのが、少しだけ恥ずかしかった。

けれど、それでも伝えたかった。

「――ああ。大切にする。俺の全部で。」

その瞬間、ふたたび唇が重なる。

今度はゆっくり、深く、確かめ合うように。

呼吸の合間に伝わる熱。

唇から指先まで、すべてが隼人さんに溶かされていくようで――

私は、ただ彼の腕の中で、そのぬくもりに身を預けていた。

もっと近くに。もっと深く。

こんなに誰かを求めたのは、初めてだった。

「キスだけじゃ足りない。」

そう言ったのは、私からだった。
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