誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
「ずっと、こうしていたい。」

小さく、震えるような声。
私もそっと頷いた。

たとえ明日、世界が変わっても、今この瞬間は、本物だと信じたかった。

その夜、私は初めて本当の意味で、誰かとひとつになった。


隼人さんが満足すると、私の横に寝そべった。

広いベッドの中、彼の胸に顔を預けると、じんわりとした熱が、まだ身体の奥に残っていた。

「ああ、ようやく紗英を抱けた。」

そうつぶやいた声は、どこか安堵と幸福が入り混じっていた。

私はその言葉を、胸の内で何度も繰り返した。

“ようやく”という響きが、どれほどの想いを込めてくれていたのかを思うと、自然と頬がゆるむ。

湿った肌と肌を合わせて、呼吸を感じあう。

まるで、心臓の鼓動までが重なっているようで、彼の存在が、私のすべてに沁みこんでいく。
< 135 / 291 >

この作品をシェア

pagetop