誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
「待った甲斐があった。」

彼はふっと笑って、でもその肩が、わずかに震えていた。

気づかれまいと平静を装っていても、心の奥が揺れていたのだと分かる。

「私、幸せかも。」

そっと告げると、彼の瞳が、優しく細められる。

「もっと幸せにするよ。」

そして重なる口づけ。

甘くて、やわらかくて、でもどこか切ない。

恋というより、愛の感触。

触れるたびに心がふるえて、もう一度抱きしめられたような気がした。

この夜が、永遠に続いてほしい。

そう思ってしまうのは、罪だろうか。

けれど――彼の腕の中にいる限り、それを願ってもいい気がした。

寝息をたてる彼を残して、私はそっとベッドを抜け出した。

まだ火照った身体を、冷たい水で落ち着かせようと、キッチンへ向かう。
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