誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
「何度も抱きたい。今日も泊まって行って。」

隼人さんの言葉は、強いようでいて、どこか必死だった。

求めるのは身体だけじゃない。

心まで欲しがっている――そのことが、痛いほど伝わってくる。

もう、私は彼の手の内。

抵抗する理由なんて、どこにもない。

「離れたくない。紗英。」

彼の腕の中で囁かれる声が、熱く、重い。

それは甘えであり、切なさであり、ひとつの誓いのようでもあった。

苦しそうに眉を寄せるその表情に、胸が締めつけられる。

ああ、きっとこの人も、ずっと誰かに本気になりたかったんだ。

私はそっと彼の頬に触れた。

「離れないよ。」

そう言うと、隼人さんは少し驚いたような顔をして、それから安心したように「はぁー……」と長くため息をついた。
< 143 / 291 >

この作品をシェア

pagetop