誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
まるで、何年も探していた答えをやっと見つけたように。

その安堵の音が、嬉しくて、くすぐったくて――

「……紗英。」

優しく私を見つめたその瞳に、今まで見たことのない深さがあった。

心も身体も預けられる相手。

ようやく、出逢えたのだと確信した朝だった。


「紗英、もう七時半だよ。会社、間に合う?」

眠そうに目をこすりながら、私はようやく隼人さんのベッドから上体を起こした。

シーツの中には、まだ彼の温もりが残っていて、離れがたい。

「うーん……まだ大丈夫です。でもシャワー、借りますね。」

「朝も浴びるんだ。キレイ好き。」

「部長のせいですよ。」

「お、もう“部長”呼びに戻るんだ?」

くすっと笑って、私は彼のシャツをはおった。

キッチンでは、彼がコーヒーを淹れていた。
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