誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
ビジネスシャツに腕を通すその姿は、いつもの“桐生部長”そのもので、でもどこか、柔らかい雰囲気がある。

「トーストでいい?」

「はい。そんなに作ってくれるなんて、意外でした。」

「意外と家庭的なんだよ、俺。まあ、誰かのために焼くのは初めてだけど。」

「……嬉しいです。」

焼き立てのパンの香りと、彼の淹れてくれた濃いめのコーヒー。

さりげないのに、どうしてこんなに満たされてしまうんだろう。

「ねえ、タイツ伝線してない?」

「うん、大丈夫。けど……そのシャツの下、まだ下着のままだよ。」

「わざと見てますよね?」

「うん、だって彼氏だし。」

さらっと言われて、思わず目をそらす。

「あの……今日、会社では普通に接してくださいね。」

「わかってるよ、主任。」
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