誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
夕食の余韻が残るキッチンを片付けたあと、ふたりでお風呂に入った。

湯気の立ち込めるバスルーム。

「はぁー……」

隼人さんのくぐもった吐息が、湯面にふわりと広がる。

濡れた前髪が額に張り付き、水滴が肩をすべっていくその姿に、思わず目を奪われた。

「……セクシー過ぎますよ。」

そう呟いたつもりだったのに、彼にはちゃんと届いていた。

「紗英。」

隼人さんが腕を広げる。

私がその腕に入るのを待っている。

ためらいながらも、私はその胸に身を寄せた。

お湯の温かさより、彼の体温の方が心地よく感じる。

「……あー、この身体。いいよな。」

彼がぽつりと呟く。

「……太ってるって言いたいんですか?」

冗談めかしてそう返すと、隼人さんは笑った。

「まさか。肉付きがいいって、誉め言葉だよ?」
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