誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
あくまでも真顔でそう言うもんだから、私は思わず彼の頭をコツンと叩いた。

「なに、それ。褒めてるようで全然褒めてないです。」

「いやいや、本当に。……柔らかくて、女の子らしくて、俺は好き。」

耳元で囁かれると、心まで熱くなる。

お風呂の湯気のせいじゃない。これは、きっと――彼の言葉のせいだ。

湯船の中、彼の指が私の髪をそっと撫でた。

「もう少し、こうしていたいな。」

「……はい。」

ぴたりと合わさる肌と肌。

その静かな時間が、何より贅沢な愛の形に思えた。

湯の中で静かに重なる肌と肌。

ぴたりと寄り添うと、隼人さんの鼓動が、背中越しに伝わってくる。

「……紗英。」

耳元で呼ばれる声は、いつもより少しだけ低く、甘く響いた。

彼の指がそっと私の髪をすくい、肩へと落とす。
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