誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
給湯室から戻ると、上林さんがまた近づいてきた。

「ねえ、さっきの話。本当だと思う?」

「さっきの話?」

とぼけてみたけど、内心はざわざわしていた。

「桐生部長が地味な女を狙ってるって話。」

そう言って、くすくす笑っている。

私は笑った。愛想笑いという名の、自己防衛。

「ははは……さあ? 結婚したいんじゃないですか?」

それでも、なんとか平静を装った。

だけど、次の一言が胸に鋭く突き刺さる。

「あのセクシー男子が? ああ……地味な女に結局落ち着くってこと?」

言葉の意味に、ふっと心が沈む。

地味な女。

その言葉の重さが、今まで感じたことのないほど苦く響いた。

たしかに私は派手じゃない。

メイクも、服も、地味めだ。

だけど、それで彼に選ばれたのなら、喜ぶべきことじゃないの?
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