誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
「結婚が先か、子供ができるのが先か――」

そう言いながら、彼は私の肩を優しく押し、ベッドに背中を預けさせる。

「今夜、次第だね。」

「……あの、ちょっと……楽しんでません?」

「もちろん。紗英と一緒にいると、楽しいよ。」

そう言って、彼は上着を脱ぎ、シャツを外す。

あらわになった体には、派手な筋肉ではなく、しなやかで無駄のない輪郭があった。

まるで、感情を抑えて生きてきた人の、静かな自制を物語るような――そんな体。

私はただ、彼に見惚れていた。

愛おしくて、触れたくなる。

「……紗英。」

名前を呼ばれた瞬間、彼の手がそっと私の頬に触れた。

「今夜こそ、君を本気で抱く。」

ベッドサイドの淡い光の中、見下ろす隼人さんの視線は、熱を帯びていた。

その真剣なまなざしに、私は思わず目を逸らす。
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