誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
私は、はにかんだまま、彼の胸元に手を伸ばした。

心臓の音が、私のものと重なっていく。

――これは、ただの快楽じゃない。

愛と呼ぶにふさわしい、二人だけの時間。

彼の胸に頬を寄せると、鼓動の音が耳に触れた。

「隼人さん……私、本当に……あなたと……」

言葉にならない想いが、喉の奥で震えていた。

それでも彼は、何も言わずに私の髪を撫でた。優しく、確かに。

「紗英、俺はね――君を愛してる。」

その言葉が、静かに、確かに胸に落ちてくる。

私はそっと彼の背に腕をまわす。

体温が、心まで包み込んでいく。

――欲望ではなく、確かな愛。

彼の手が、私の腰に触れる。

そっと、迷いなく、心の奥まで入り込んでくるような温もり。

キスとは違う優しさが、肌と肌の間をすべっていく。

息が重なり、体が重なり、その先にあるものが、愛しいと感じた。
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