誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
「大好きだよ、紗英。」

この瞬間、私は世界で一番幸せな女になった気がした。


翌朝の経理部オフィス。誰よりも早く出社した私の元へ、上林さんが近寄ってきて……

「おはよ、紗英ちゃん。」

その声だけで、なんとなく嫌な予感がした。

「……おはようございます。」

「ねぇ。昨日の夜……どうだった?」

「どうって……」

私の頬がじわっと熱を帯びる。

「部長、どんなふうに女を抱くの?」

ぶふっ――とコーヒーを吹きそうになった。

「え、ええっ⁉ ちょっと待ってください、上林さん!」

「いやーだ、そういう顔するってことは、あったってことじゃない!」

完全にトラップだった。

「……優しかったです。」

正直に言うと、上林さんは急にテーブルに突っ伏した。
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