誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
「はあああ⁉ 桐生部長が⁉ 優しく⁉ まさか“愛してる”とか言っちゃったりするの⁉」

私は下を向いた。

「……はい。」

「ぎゃーーーーっ!!言うの!? “愛してる”って、あの超無口エリートが!?」

まるで推しカプの熱狂的ファンみたいなテンション。

「で、で、前戯は?どんなこと囁くの?」

「もう無理!無理無理無理です、そういうの職場で聞かないでください!」

「えー、ちょっとくらい教えてよぉ。どうせ今夜もお泊まりでしょ?」

「そんな予定はっ……ないですけど……」

「おやおや?この“けど”に全てが詰まってるぅ〜♡」

顔を隠すように、私は書類の山に埋もれた。

「仕事しましょう。私、ちゃんと経理部なんで。」

「ふふっ、でもさ――幸せそうな顔してる。いいなあ、紗英ちゃん。」

その言葉だけは、素直に嬉しかった。
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