誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
「愛してる、だの、子供が欲しい、だの。そう言えば女はみんな信じるとでも?」

私は口を覆った。

聞きたくない。だけど、聞こえてしまう。

「俺は、紗英を――」

「――なら、どうして彼女を不安にさせる?」

隼人さんが黙る。私は、その沈黙に胸が締め付けられた。

一条さんは、はっきりと言った。

「もう遅いですよ。俺は、紗英さんを抱きました。もうあなたのモノじゃありません。」

「……!」

棚の奥で、私は震えていた。

一瞬の沈黙のあと、鈍い音が鳴り響いた。

「……ッ!」

隼人さんの拳が、一条さんの頬を思いきり打ち抜いたのだ。

バタン、と棚にぶつかりながら、一条さんが床に倒れ込む。

「無理やり犯したのか!」

隼人さんの声が、倉庫中に響いた。
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