誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
だが一条さんは、倒れたまま、冷笑を浮かべた。

「彼女は――感じてましたよ。」

「……!」

「可愛かった。俺に、甘えてた。」

「そんなわけあるかっ!」

隼人さんの怒声に、私の心が引き裂かれそうになる。

「紗英は……俺を、愛してるのに……!」

そのときだった。

私は、棚の隙間からそっと顔を上げてしまった。

目が合った。

桐生部長――隼人さんの瞳が、私を捕らえる。

「紗英……」

その一言に、私の胸は締めつけられた。

「そんなところにいたのか。……もう帰ろう。」

隼人さんが、私のもとへ手を伸ばす。

けれど――

私は、そっと首を横に振った。

「私……」

声が震える。

何を言おうとしているのか、自分でも分からなかった。

「私……一条さんに……」
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