誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
……まさか、桐生部長が私を“かばった”?

私は一瞬言葉を失って、差し出された領収書を見つめた。

この人、やっぱりよくわからない。

でも、ほんの少しだけ、胸の奥がふわっと温かくなっていた。

いつものコンビニでコーヒーを買おうとした時だった。

店の奥、ドリンクコーナーの前で女子社員たちに囲まれている桐生部長の姿が見えた。

「部長~、ジュース買ってください♪」

「いいよ。」

即答に、女子たちの黄色い悲鳴が響く。

(……ここはホストクラブですか?)

思わず心の中で突っ込みながら、私はいつものカフェオレを取ろうと手を伸ばした——その瞬間。

「篠原さんは、これでいいかな?」

その声に振り向くと、すぐ隣に桐生部長がいて、私がいつも買っているカフェオレを手にしていた。
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