誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
「……隼人さん、私……」

言葉が続かない。

口にした瞬間、壊れてしまいそうで。

それでも彼は、優しく私の肩を引き寄せて、強く抱きしめてくれた。

「大丈夫だ。おまえは……俺を裏切ってなんかいない。」

耳元で、低く、力強い声。

その一言に、堪えていた涙があふれ出した。

「でも……あんなこと……私……っ」

「事故だったんだよ。」

隼人さんの手が、私の髪をゆっくり撫でる。

「おまえは、無理やりだった。愛してなんかいなかった。だから……裏切りなんかじゃない。」

「……本当に?」

「本当だ。」

そう言って、彼は私の額にそっと口づけた。

「忘れろ、紗英。俺と一緒にいる未来だけを、見てくれ。」

胸が締めつけられる。

こんなにも深く、優しい人が、自分を許そうとしてくれている。

「……ありがとう、隼人さん。」

私はそっと彼の胸に顔を埋めた。

その胸の温かさだけが、唯一の救いだった。
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