誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
だからこそ、今こうしてそばにいられる時間を、何より大切に思った。

映画なんて、また今度でいい。

こうして彼が安心して眠れる場所に、私がいられるなら──それだけで、十分だ。

静かにカップにお茶を注ぎ、隣の椅子に座った。

彼の寝息をBGMに、私は何もない休日の幸福を、ゆっくりと味わっていた。

でもそれが、二週目、三週目と続くと、さすがに心がざわついた。

隼人さんと過ごす週末。確かに一緒にいる。

でも、以前のような熱い抱擁も、愛おしさが滲むキスもなくなっていた。

ベッドに入れば、彼はすぐに寝息を立てる。

私はその隣で、起きているふりをしながら天井を見上げる。

「……ごめん。平日はいつも帰ってくるのが夜中で。」

その言葉に、私は「うん」としか返せなかった。
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