誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
思わずコップを持つ手が震えた。

「欲求とか、たまらないの?」

その一言が、じわりと私の心の奥を突いた。

「……それは……」

言えなかった。言いたくなかった。

でも確かに。ここ最近、隼人さんに触れられていない。

週末一緒にいても、ベッドではすぐに眠ってしまう彼に、声もかけられずに背を向けるしかなかった。

「女だって、寂しい時はあるよ。何も間違ってない。」

美羽さんのその声が、妙に優しくて、泣きたくなる。

「……触れて欲しいです。」

ぽつりと落ちた言葉は、まるで自分の奥底から零れた本音だった。

「ほらね」

美羽さんが、少し微笑んだ。

「肌ってね、乾くの。誰にも抱かれない時間が長いと、心までカサカサになる」

私は下唇を噛んだ。今の私は、まさにそうかもしれない。

夜、シャワーを浴びて、ひとりで寝る前。
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