誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
思い出すのは、隼人さんの熱い手、甘く囁かれた言葉、何度も重なった夜。

――もう一度、抱いて欲しい。

「……私、変ですか?」

「いいや、普通。むしろ健康な証拠よ。」

コーヒーの香りが広がる給湯室で、私は静かに自分の身体の火照りを思い出していた。


週末の午後。

部屋には穏やかな陽の光が差し込み、ソファでうとうとしている隼人さんの寝息が、心地よい静けさを運んでいた。

私は、迷っていた。

ここ最近ずっと、触れられていない。甘い時間も、熱い夜も。

もちろん、仕事が忙しいことは分かってる。だけど——

「……隼人さん」

思い切って声をかける。まぶたがゆっくりと開かれた。

「ん……どうした?」

彼の寝ぼけた声が、可愛くて胸にじんとくる。

けれど私は、心を決めていた。

「……えっと、その、エッチ、しよ?」

一瞬で眠気が飛んだのか、彼の目が大きく見開かれた。
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