誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
「他の人はどうした?」

(え?)

驚いて振り返ると、そこに立っていたのは経理部長じゃなかった。

桐生部長だった。

「皆、用事があるとかで……」

そう言いながら立ち上がると、彼は少し笑って私を見下ろしていた。

「君は、金曜日なのに残業?」

その言葉は、どこか優しくて。

まさか桐生部長に、こんな時間に会うなんて思ってもみなかった。

ましてや、気づいてもらえるなんて。

……なんだろう、この変な感じ。

「経費精算の締めなので。」

私はなるべく事務的に返したけど、胸の奥がほんの少しだけ温かくなるのを感じていた。

「手伝おうか。」

不意に桐生部長が言ったその言葉に、思わず私は手を止めた。

「でも、部長に手伝ってもらうわけには……」

そんなこと、立場的にもあり得ない。そう思って返すと——
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