誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
それはきっと、私が無意識にしていた行動。

けれど、そんなことを彼が覚えていたなんて思いもしなかった。

「俺、ああいうのが、たまらなく好きなんだよ。体じゃなくて、心で繋がってるって……そう思える瞬間。」

美羽さんは、ほんの一瞬だけ眉をひそめた。

そして、静かにため息を吐いた。

「……相当惚れてるのね。」

「そうだな。」

隼人さんの横顔は、照れもせず真っ直ぐで――あの人らしい強さに満ちていた。

「それに……彼女、一条に……傷つけられてた。抱くとか、そういうの……しばらくは、違うって思った。」

「…………」

美羽さんの表情が、わずかに揺れる。

少しだけ唇をかみしめ、視線を逸らした。

「……あの時の、私にはなかったな。 そういう言葉、言ってくれる人。」
< 232 / 291 >

この作品をシェア

pagetop