誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
彼女のその言葉は、過去に置き去りにされた「元恋人」としての未練を含んでいるようだった。

でも同時に、それを認めて前に進もうとする小さな決意のようにも見えた。

その場に立ち尽くした私は、何も声を出せなかった。

けれど、胸の奥がじんわりとあたたかくなる。

(ありがとう、隼人さん……)

私は、誰よりも深く、彼に惚れていた。


それは、何気ない夜だった。

隼人さんの部屋でくつろいでいて、私は何となくスマホの充電を済ませ、ベッドに腰を下ろしていた。

シャワーの音が遠くから聞こえる。彼は今、バスルーム。

ふと、テーブルの上に置かれた彼のスマホが震えた。

画面が明るくなり、差出人の名前が表示される。

「……美羽さん?」

私は小さく呟いた。
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