誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
その口調は、冷静で、まっすぐだった。

でも――私の心の中では、何かが崩れ落ちていた。

「じゃあ、美羽さんと何があったか言って!」

私は目の前の彼を睨みつけるように問い詰めた。

「紗英、落ち着けって。」

「言って!」

声が上ずる。涙が出そうだった。

隼人さんは、小さく息を吐いた。そして――観念したように、ぽつりと口を開いた。

「……キスされた。」

その言葉が落ちた瞬間、私の思考が一瞬、止まった。

「でもそれ以上はしていない。信じてくれ。」

その声は真剣だった。でも、心が追いつかない。

「あの人……美羽さん、まだ隼人さんのことが好きなの。」

「……ああ、知ってる。」

そのあまりに冷静な返事に、胸の奥がずきっと痛んだ。

「それで……キスしたら、それってもう、彼女の手の内じゃない……!」
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