誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
桐生部長が経理部にやってきた。

私はてっきり書類の申請か何かだと思い、「申請書ですか?」と手を差し出す。

けれど、彼は受け取らずに立ったままだ。

「……どうしたんですか?」

空気が一瞬で変わった。

「篠原さんに会いに来た。」

その言葉に、周囲の女子社員たちから「きゃーっ!」と黄色い声が上がる。

私は驚いて立ち上がる。「ご用件は?」

「用件……?」

「私、彼氏がいるので、そういうの……困ります。」

少し震える声で告げると、桐生部長の眉がぴくりと動いた。

次の瞬間、彼は私の手首を掴み、驚く私をぐいっと廊下へと引っ張り出す。

「ちょっ……桐生部長、離してください!」

「ふざけるなよ。俺とお前は、そんな薄っぺらい関係だったか?」

その低い声に、胸が締め付けられる。

「彼氏がいる?……それ、本気で言ってるのか?」

迫る視線に、私は言葉を詰まらせる。

今の私に、桐生部長を真っ直ぐ見る資格があるのだろうか――
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